2015年04月11日

劇的な変化

きのうの日本農業新聞。

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いまの気分にツボだったので、記事を拝借してきました。
檀蜜さんが特別好きなわけではないですよ。
いや、嫌いではありませんが。

「有機農業は安全とは限らない」
「昔からのものを守る大切さ」
などがやや上から目線で書かれています。
インタビューなのに対話形式にもなっていないし、、、
JAの社説を効果的に伝えるために檀蜜さんの写真をくっつけたような感じが。。。


「劇的な変化」がすごいです。
情報産業から始まって、製造業に影響したものが、
農業の生産現場でも起こり始めました。

畑の近くに広がる広大な稲作地帯では、8ha(=24000坪)もの田んぼを潰して
ガラスハウスを建設、水耕栽培のトマトを大量に生産することが決定したとのこと。
デルモンテ(kikkoman)が流通させ、生産は地元の農業法人との合弁。
しかも彼らはこの他にも、既に同じくらいの規模で同様の設備を市内に建築中です。

全く別の事例では、ヨーカドー系列で長野にやはり広大なガラスハウスを建設、
一日何トンという膨大な量のホウレンソウを集中的に生産するそうですよ。
ニンジンとかでも同様の事例を見ました。

これらの設備建設は国が積極的に補助金をつけて推進しています。
大口の業者さんが市場に買い付け等に行く時代はだいぶ前に過ぎていますが
いまや直接の契約栽培すらも通り越して、大量で安定した自前の生産設備を作り始めています。
それらがコンビニやスーパーの需要を支えます。

ピッタリと規格に合った材料が、機械で超高速に加工され、1グラム単位で正確に計量されて惣菜に。
どの工程も極限まで無駄を減らし、超効率的に回転していきます。
その恩恵を、消費者としての我々も受けています。

たとえF1で規格に合っていても、その加工設備と相性の悪いものを作っている中小農家は
相手にされなくなっていきます。
加工品としての流通が増える分、市場での需要が減り、値段が安くなります

決して愚痴を言いたいのではなくて、この小規模の農家という大変な仕事を、
徐々にやらなくて良くなってきてるのだと感じています。凄いことですね。

私は、もともと安い野菜の単価では、大規模化や法人化をしても金額が合わないと
高をくくっていたのですが、超大規模化プラス国の援助という形で数字が合うように
なってきているようです。

カロリーベースの自給率が低いのは、肉や乳製品などの畜産向け飼料の自給率が低いからです。
コメは余剰米が大問題ですし、野菜もすでに大量生産しすぎて余りまくっています。
野菜のカロリーは非常に低いので、もともと自給率への寄与は小さいのです。
というわけで要はお肉とかバターの問題。

そうすると余ったコメでお肉が生産できると一番良いので、飼料米への移行や、
稲を牧草として流通させるとか、いろんな制度が進行中。

コメとして収穫せずに、稲を大きな円柱状にまるめて、北海道の牧草地で転がっているような
ホールクロップにするのを推進。
考え方は非常に美しいのですが、数字の話をしますと10aあたり、
飼料としての売上は2万円にしかなりませんが補助金が7万円とかそういう世界です。
強引ですが自給率は上がりますね。

こういう現象は農業全体で発生しています。
国は農産物の市場価格を維持しようとはあまり思ってなくて
代わりに補助金で農家を直接食わせようという政策です。
農家=「雇用関係のない公務員」。

ではなぜ「担い手不足」と言われるのか。
これは農地の維持管理をやる人が居ないという意味であって、
食糧生産をもっと増やしてくれとは言っていないんですね。
要するに草刈りです。

現場で高齢化が進行しているのは間違いありませんし、
食糧安保上、不足して高騰するのを最も避けたいので、
生産力がだぶつき気味のままを維持したいでしょう。
世の中的には、食糧が安いに越したことはないのです。


…ということで激しく進化する世の中を実感している最近でした。
多様性が失われがちなのは問題ですが、ならばそういう新しい施設で
効率的に在来種・固定種を作るようになるとか、
遺伝子汚染のリスクに対しては、
法律で雄性不稔の種の使用を禁止するとか、いろんな対応がありえます。

「今あるものを守る」のも大事ですが、
守る手段は進化したほうが良いことが多いでしょうね。


◆ 4月14日 追記 ◆
コメント欄にて「ブリーダー」様より育種と雄性不稔についての貴重なご説明を頂いています。
ご興味のある方、難しいですが目を通してみてください。
posted by 宮本農業 at 03:22| Comment(5) | 日記